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魔王の雲

クラウドコンピューティング
は、
ブラウザーを稼働できて、
インターネットに接続できる端末さえあれば、
望むままに情報サービスやアプリケーションが提供される世界が実現する
という構想です。
グーグルCEOのエリック・シュミットという賢い人が
2006年に提唱しました。
ネットワークの最終発展形ともいえる、
たいへん重要な概念です。
わたしたちユーザの手元にある端末は、
OSがなんであろうと、
スペックがどうであろうと、
別にかまわないというのです。
インターネットに接続することさえできれば。
わたしたちが発する質問なり命令に対して、
インターネット上のどこかにあるコンピュータが、
それを処理して結果を返してくれるというのです。
ええ話ですなぁ (。・・。)
わたしたちは、
それがどこで処理されているか、
意識する必要はありません。
しかも処理される場所は、
いつも同じとはかぎらない。
専門的にいうと、
そこが「ASP」やら「SaaS」やらのしくみとちがうところなんですが、
ではASPやらSaaSやらはクラウドではないのか
というと、
そういうことでもない。
ASPやらSaaSやらの時代を経て、
コンピュータのネットワーク技術がますます向上し、
ぶよぶよとサービス領域が広がったところに

なるメタファーが用いられた。
つまり、
インターネット上で結ばれたコンピュータ群が、
さまざまな形態や階層で行う処理を包括している概念だと考えられるわけなので、
ASPSaaSクラウドに含まれているといえます。
すべてはのなかに‥‥
インターネット上には無限のリソースがあります。
物理的に結ばれているコンピュータの数は厳密には無限ではないのでしょうが、
そこに注入された叡智は無限なのです。
質問を投げかけて待っていれば、
返ってこない答はない。
わたしたちの潜在意識と似ていますよね。
もともとわたしたち人間は、
宇宙につながって無限の知恵を授かることのできる心の経路を有しているのですが、
そこへもうひとつ、
全知全能のクラウドと物理的につながることのできるデジタルな経路を得たわけです。
便利すぎて2つもいらないかもしれませんけどね。
IT経営ではクラウドへの経路を使います。
インターネットにつなぐだけですから簡単なんです。
この万能なに、
万能なERPを乗せてしまいたい‥‥
というのは、
ま、
誰でも思いつくことですけども、
わたしが思いついた1997年当時は、
そういう発想はまだあまり聞いたことがなかったし、
もちろん現物も存在しませんでした。
まさにをつかむような話
だったわけですね。
 クラウド + ERP = 万能?
ネット環境が貧弱すぎて、
実用性が乏しかったからでしょうか。
あったら便利なのに‥‥ない。
どんな業務も、
インターネットに接続するだけで、
できてしまう、
そんな魔法みたいな雲が、
ない。
>だったらワシがそんなをつくって進ぜよう
‥‥と、
たまたま地球のそばをとおりかかった大魔王さまが好奇心を抱いた。
しかも、
魔王っていうくらいだから魔法のひとつやふたつ使えるのだ。
(;・_・)・_・)
ところで
ERPっていう言葉、
ごぞんじですか?
英語で書くとEnterprise Resource Planningで、
「企業資源計画」あるいは「経営資源計画」などと訳されます。
企業内のあらゆる経営資源、
すなわちヒト+モノ+カネ+情報を有効活用しようってことで、
生産や在庫、販売や購買、受発注、物流、会計、給与、人事といった業務を、
企業全体で統合的に管理し、
資源を最適配分することによって生産性を高めようとするコンセプトです。
この経営手法を実現するための統合基幹業務パッケージを指すこともあります。
米国の調査会社ガートナーグループのL・ウィリーという賢い人が、
1990年に発表した論文の中に出てきたのが最初みたいです。
常に全体最適という目線で、
各部門ごとに別々に構築されていたシステムを統合し、
データベースの一元化を図ることによって、
相互に即時共有できるようにしたものです。
要するに、
これさえあればなんでもできる‥‥というような、
いかにも怪しげな万能パッケージヾ(☆o☆):
なんですね
ましてや‥‥
 クラウド + ERP
という発想が、
1998年の時点で、
どれだけうさんくさいものだったか、
推して知るべし。
ともあれ、
遠い星からやってきた大魔王が
そんなものをつくってやろうと言い出したのです。
で、
そのアシスタントをしていたのがわたしなんですが‥‥
(;・_・)・_・)
魔王さまとわたしにとってパソコンは、
よくできたオモチャみたいなもので、
いろんな遊び方があって、
ちっとも飽きませんでした。
次から次と、
新しい遊びを開発していくような日々でした。
プログラムというのは正しく書きさえすれば、
書いたとおりにコンピュータが動いてくれます。
自分の思いどおりに動くというのが、
はじめは快感なわけです。
おまけに道具というものは、
手に馴染んでくると、
それに触っているだけで、
なんだかワクワクしてくるもんです。
ゴルフや釣りが趣味の方、
経験ありますよね?
ビルゲイツの伝記「GATES」の冒頭に、
いきなりこんな興味深い文章が出てきます。
“The computer programmer . . .
is a creator of universes for which he alone is the law giver. . . .
No playwrite, no stage director, no emperor, however powerful,
has ever exercised such absolute authority
to arrange a stage or a field of battle
and to command such unswervingly dutiful actors or troops.”
– Joseph Weizenbaum

きっと魔王さまにもわたしにも、
造物主の魂が混じっていたんでしょう。
道具に惚れることができたなら幸せ、
プログラマ稼業は乙なもの‥‥
(。・・。)
そんなこんなで魔王さまの雲は、
だんだんカタチが見えてきたのです。
w(゚o゚)w
2002年、
大阪のとある中小企業で、
できたての雲を初めて実務に使ってみました。
まだ中途半端なプロトタイプ版でしたが、
雲の中から納品書が出た
ブラウザは重くて使い物になりませんでしたから、
魔王さまが3日で作った変梃なターミナルエミュレータで動かした。
まだブロードバンドも普及していない時代で、
月額3千円の「フレッツISDN」というサービスは、
通信速度が最大で64kという代物。
それでも売上データの入力がサクサクできて、
納品書が出た。
魔王さまのハシャギようはただごとではありませんでしたな。
子どもみたいに飛び跳ねて喜んだ。
調子に乗った大魔王は、
雲からときどきカミナリが落ちるような細工をした。
‥‥と思ったら、
その次の日にはさっさと宇宙へ帰ってしまったんですがね(ё_ё)
カミナリ雲の開発はわたしが引き継ぎました。
中途半端な未完成品だったことが、
かえってよかったのかもしれません。
現場の事情に合わせて形を変える謙虚さがありましたから。
コンピュータプログラムの秩序正しさとは裏腹に、
人間界──三次元社会──のほうはややこしいもの。
特に中小零細企業の経営ってやつは、
パターン化できない未解決事件の寄せ集めみたいなもんで、
とりあえず標準ってもんを受けつけようとしません。
魔王のカミナリ雲は、
そんな現場の非標準を根気よく受け入れながら、
だらだらと柔軟に進化を続けるのでした。
豪放な落雷とともに‥‥ですね。


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