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IT業界はブラック企業だらけか

>ITの業界はブラック会社が多いって聞くんですけど、
>貴社はどのくらいブラックなのかについて教えてください。


就活生向けの企業説明会で学生さんから質問された。
むむ、
質問されたからには答えないといけないぞ。
だがそんなこと、
実は真剣に考えたこともない。
この文章は20代の人に向けて書いてます
ブラック企業
──まえからあった言葉なのに、
近ごろ急に耳にする機会が増えている。
だがそもそもブラック企業の定義ってなんだ?
セクハラまがいのことは毎日のように注意を受けているが‥‥
いやいや、
わたしのそれは対外的なお笑いネタだ。
学生には通じない。
そうだ、
こういうときは相手の価値観を試すふりをして、
逆に質問してみるにかぎるぞ。
>えーと、
>キミにとってブラック企業っていうのは、
>世間のそれと同じと思っていいのかな?
>もしちがってたらキミなりの定義を教えてくれよ。

さあメガネの学生、困った顔になったぞ。
どーだ、
われながらうまい問いかけだったな。
そしたらその男子、
口ごもりながら答えてくれた。
>えっと、そうですね、
>一般的にはパワハラとか休みが少ないとか、
>給料が安いとかあると思うんですけど、
>わたくしがいちばん気になるのは、
>やはり長時間労働ですね。

なんだ ε=( ̄。 ̄;)
けっきょくそんなとこか。
だったらはじめから残業はいやだと言えばいいのに。
ということで、
まじめモードで答えるのはやめて、
茶化しておくことにした。
>あ、そうなの。
>だったらだいじょうぶかもな。
>ウチは長時間労働とかないよ。
>残業時間は月平均で30時間もないんちゃうかな。
>新入社員でもちゃんと残業代は払ってるしね。
>でもな、
>残業時間はたいしたことなくてもな、
>社長のわたしがめっちゃコワいねん。
>だらだらしてたら毎日どなられまくりや。
>女子が入社すると半年でだいたい5キロくらい痩せるらしいわ。
>だから全体としてはどうやろうか、
ブラックすれすれのダークグレー企業って感じかな?

‥‥って、
ちょっと脅かしてやった。
ブラックジョークってわけでもないけど、
入るまえから残業時間を気にするようなヤツは、
どうせ採用しないんだし。
すると大半の学生は面食らうか呆れるかして去っていくんだが、
1割くらいは逆におもしろがって面接を受けにくる
‥‥ということになる。
ちょうどウチはいま、
採用人事のプロと顧問契約を結んで、
新卒の定期採用にチャレンジしようとしているんだが、
その先生にもアドバイスされたことがある。
>募集職種のところ、
>SEとかプログラマとか、
>露骨に出さないほうがいいよ。
>その職種しかないんだったら別だけど、
>販売企画とか研修講師の仕事もあるじゃない?
>だったらそっちで募集かけたほうがいい。
>なるべくって話なんだけど、
>じゃないといい学生が集まらないから。

──ですって。
ITや飲食、他にもいくつか、
ブラックの烙印を押された業種ってのがあるんですなぁ。
業界をひとくくりにしてブラックと判定するとか、
就職先を決めるにあたってそんな基準で選んでいるとしたら、
まったくナンセンスで馬鹿げたことだとは思いますが、
でもたしかに、
IT業界にはブラックと呼ばれてもしかたがない事情がある。
すなわち、
ITゼネコンと呼ばれる大手のベンダーが元請けとなり、
下請け、孫受け、さらに4次請け、5次請け‥‥と、
果てしなく広がる多重請負構造だね。
下請け、孫請けあたりの担当者は、
上から来た仕事を下にまわすだけの中途半端なエリートかぶれで、
ひたすら下位の業者をいじめるのが生きがい、
というのが珍しくない構図になっている。
会社案内を見たときに、
主要取引先としてNECや富士通、日立、NTTの系列、
オラクル、IBM‥‥といった大手ブランドを並べている中小中堅は、
この構造に組み込まれている可能性が大なわけだ。
構造は建設業界と同じなのに、
ブラック度はITのほうが高いのは、
西暦2000年前後にバブル期を経ていることが関係しているんだろう。
一攫千金を夢見たベンチャー小僧たちが、
ITという未成熟な業界に大挙して押し寄せた。
業界そのものが新しいということは、
先輩やベテランがいないことを意味する。
いちびりな若ゾウがちょびっと勉強したら早い者勝ちでイチバンになれたってこと。
だからバブルのころは、
たいした実力もないのに偶発的に大金を手にした若ゾウがあちこちで大ボラを吹いていた。
SOHO(=スモールオフィス・ホームオフィス)という起業形態に象徴されるように、
パソコン1台あればホームページ制作事業などを小資本で開業することができた。
参入障壁はないに等しい。
求人/採用/神戸 しかし市場が成熟してくるにつれ、
あたりまえだがもともと実力のなかった若ゾウたちは、
なんの使い物にもならない若年寄りと化して使い捨てられることになる。
バブルははじけたといってもITベンチャーが全滅することはない。
次々と新興勢力が浮かんできては脚光を浴びるもんだから、
ゲームおたくみたいな人種の業界流入は止まらない。
iPadやiPhoneのおしゃれなCMを見ているだけで、
自分もクリエイティブな仕事ができると勘ちがいしてしまうらしい。
徹夜してナンボのデジタル土方と呼ばれる難民プログラマが、
うようよ発生してしまったのも必然の流れだろう。
┐(-。-;)┌
そこへいくとウチの会社は、
エンドユーザとの直接取引が100%。
下請け、孫請けがあたりまえになった業者からは、
うらやましがられるのを通りこして奇異の目で見られることが多い。
システム開発業者としてはかなり異色な存在。
>ウチは確かに、
>クラウドのシステムが収益源のひとつではあるけどねぇ、
>それをメインでやっていくつもりではないし、
>ITっていうのはどこまでいっても道具にすぎないと考えてる。
>だから「IT関連」に分類されるのにも違和感があるよ。
>価値は自分の手で創り出す。
>こだわってほしいのはそういうところだ。
>この会社がブラックかどうか、
>入ってから確かめてみたらどうだ?

なんて、
学生さん相手に語ってみたところで、
通じるわけないんだなぁ~、
こんな説明。
┐(-。-;)┌
あのなぁ、
これからIT業界に自らの意志で足を踏み入れようというキミたちね、
ブラックだとかブラックでないとか、
自分の価値観で判定しろよな。
はたらく時間が長いとか短いとかで判定するもんじゃないことは確かだろ?
キミは人と話すのが苦手で人間関係がうまく運べない。
おまけにスポーツも苦手で体がキビキビ動かない。
マシンをいじってるほうが気が楽なんでITをやりたい‥‥って、
はじめはいいよ、その程度の動機で。
そもそも愛想もよくないし、
おまけに技術的なスキルもないうちは、
やりたくないことばっかりやらされるのも当然だ。
つまらなさそうな顔をしていたら、
組織はどんな手を使ってでもキミを追い払おうとするだろう。
不愉快なヤツにたくさん給料を出そうって気持ちにはならないもんだ。
そんなのはIT業界だって他の業界だって同じこと。
それもこれもあたりまえ。
けっきょくのところ、
自分がまわりに与えられる以上のものを受け取ろうとするなってことだ。
宇宙の法則は、
キミが役に立っている以上のものを必ずキミに返そうとする。
人間的なものもあれば論理的なものもある。
引きこもりでネクラな性格だって差別しない。
キミならではの適職がきっとある。
取り損ねる心配などいらない。
誰かの役に立ちたいという気持ち、
ともすれば消え入りそうになるその炎を、
いつまでも燃やし続けることができるかどうか。
それで決まるんだ。
>ブラックっぽいから就職すんのやめます。
なんていう発想はな、
どこから見ても情けないとしか言いようがない。
アホじゃ。
ブラック企業の存在を、
キミ自身の人間としての弱さをごまかすために使うなよ。
┐(-。-;)┌
それにしても
昨今ではワタミユニクロといった有名企業の名前が、
ブラック企業としてマスメディア上に取り沙汰されておるな。
他にも、すき家(ゼンショー)やすかいらーく餃子の王将など、
やっぱり飲食関連が槍玉に挙げられることが多いようだ。
たとえ大企業であっても、
いや、大企業であるがゆえに、
吊し上げられて見せしめにされてしまうのだな。
残業時間がどのくらいで自殺者まで出たとか、
過労からの鬱病患者が多発しているとか、
具体的な数値を挙げて根拠を示される。
このような魔女狩り活動によって、
劣悪な実態が白日の下にさらされ、
職場環境の改善につながるならけっこうなのだが、
これが逆に免罪符に利用されるケースのほうが目立つ。
>あんな有名な上場企業や最大手でさえ、
>死人が出るくらい過酷な働かせ方をやっとるんや。
>ウチらなんかまだマシや。

ってな具合。
人間尊重の経営を掲げる中小企業家同友会ですら、
労働基準法を守ってたら9割の会員が倒産だ
という笑えないジョークを耳にする。
離職率が高くていいことなんてひとつもないんだから、
ほんとうは誰だって社員にやさしい経営をやりたいよ。
許されるもんならね。
でも企業は競争原理にさらされているんですから、
ある会社が労働基準法を遵守しても潰れないためには、
すべての企業が等しく厳格に法に従うことが前提です。
するとこんどは日本が沈没してしまう。
──ブラックなオチでごめんね(ё_ё)


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