クンバハカと呼吸

ストレスへの対処、感情コントロールにもっとも有効な手段は何かときかれたら、迷わずクンバハカと答える。「神経反射の調節法」と書くと古めかしく感じるかもしれないが、とんでもない。たった100文字足らずで説明できる明快な手段です。

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クンバハカとは、神経の反射作用を調節して心の乱れを防ぐ方法。肉体を霊体化するための密法としてインドヨガに伝わっていたものを、中村天風師が若き日にヒマラヤ山中での修行で自ら習得して日本に持ち帰った。ラジャとカルマのヨガでは「もっとも神聖なる状態」の意。現代日本では、中村天風師の創見された心身統一法の一部である「神経反射調節法」と同義ととらえてよい。

今回もまた
手段について書きます。
わたしが知りえたなかで、
最高にすばらしい手段

もうひとつここでおすすめしときたいんです。
瞑想のすゝめと同様に、
なんのための手段なのかは特定しません。
おかしな話なんですけども、
あなたの目的がどんなものであろうと、
それを達成するために抜群に有効な手段だからです。
心がまえそのものが強くなりますので、
すぐに緊張してしまう方や、
感情のコントロール

うまくできない方に特におすすめです。
(ё_ё)

万能なのにカンタンすぎるヨガの密法

わたしは、
「成功の実現」という中村天風師の述書を、
社員全員にプレゼントすることにしています。
誕生日に贈ることもあれば、
入社式の日に渡すこともある。
自分に効いた薬が他人にも効くとは思ってませんので、
押しつけるつもりはありません。
実際、
ちゃんと最後まで読まない社員のほうが多いし、
読んだけどよくわからなかったという感想が返ってきたりします。
いま、
必要でないならそれはそれでけっこう。
そのくせちょっと叱られただけで、
>心が折れそう‥‥
だのなんだの、
ヘニャヘニャのヨレヨレなんですから、
やっぱり素直に読んどいたほうがいいんじゃないの
とは思いますけど。
もしかしたらあなたにはちゃんと効く薬かもしれませんので、
お伝えします。
(ё_ё)

お尻、ゆるんでませんか?

 方法をまず第一番に簡単にお教えしよう。感覚なり感情なりの衝動、ショックを受けたら、急いで体の三か所を特別なもち方をするんです。
 体の三か所とはどこだというと、肛門とおなかと肩です。
 腹が立つこと、心配なこと、恐ろしいこと、何かにつけて感情、感覚の刺激衝動を心に感じたら、すぐ肛門を締めちまう。そして、おなかに力を込めると同時に、肩を落としちまうんだ。この三か所がそうした状態にされたときに初めて感情や感覚の刺激衝動が、心には感じても神経系統に影響を与えないという、いわゆる影響を減ずる効果がある。
   * * *
 つまり、この方法はダーンときたやつをカッと軽くいなす方法なんだ。
 別々にやっちゃいけないよ。お尻を締めて、おなかに力を入れて、肩を‥‥なんて、ゆっくりやってはだめだよ。
 普段の習慣としていちばん大事なのは、肛門をしょっちゅう締めること。往来歩くんでも、ものを考えるんでも、かように長く立ってしゃべっているときでも、肛門が締まっていると何とも変化はこない。
中村天風師「成功の実現」より

簡単ですが以上です。
ヨガの密法というわりには、
クンバハカの説明はほんとうに拍子抜けするほど簡単なんです。
もっと知りたいという方は、
1万円ほど出して「成功の実現」(日本経営合理化協会)を買って、
第5章を100回ほど読んでください。
それでもまだ物足りない方は天風会にお入りください。
わたしの場合、
クンバハカの効果はすぐに出ました。
よっぽどそれまでケツが緩んでいたんでしょう。
効果が実感できましたので、
日々のトレーニング(修行というほどのものではない)
まったく苦になりませんでした。
それどころか、
すがすがしい気持ちで続けることができた。
厳かな心持ち──とでもいうのか、
それくらいのムードに浸っていた時期もありました。
ダーンときたやつをカッと軽くいなす方法
っていう、
たったそれだけのことかといえば、
まぁ確かに
たったそれだけのことなのかもしれませんが‥‥
子どもでもわかりそうな
この短い言いまわしに、
ずいぶんいろんなことが集約されている気がするんです。
だって、
ダーンときたやつやられっぱなし人生だったじゃないですか。
ちがいますか?
嘆いても嘆いても、嘆ききれないくらい、
踏ん張りがきかなくて、
なさけなくて、
おたおたしてばっかりの人生だったじゃないですか。
生まれながらの神経が頑丈にできてないからそうなるんであって、
親を恨むしかない悲劇的な運命なのかと思いきや、
だったら神経反射調節してしまいましょうっていう突拍子もない発想ですから、
驚き 桃の木 山椒の木。
そんなことができるくらいなら、
なんだってできてしまうやんかって気がしたもんです。
とりあえずこれ、
ストレスに対処する方法として絶大な威力を発揮するものなので、
感情のコントロール

うまくできない方に特におすすめしたい感情統御法なのですが、
わたしは大げさじゃなく、
人生のコントロール

真ん中に位置する格別な手段にちがいないと感じています。
具体的で実践的なHow to Doという意味では、
天風先生の創見された心身統一法
ほど
よく組み立てられたシステムは他にないと思っているんです。
なんだか古めかしくて独特な名称が続くので、
むずかしく感じるかもしれませんが、
もうちょっとだけがんばってください。
クンバハカは心身統一法において
神経反射の調節法

名づけられておりまして、
神経系統の生活機能

改善することができるメソッドです。
すぐにビビってしまう、アガってしまう、
気が弱い、気が小さいと言われる性格だったのが、
あたかも神経そのものを別人のものと取り替えたように
内側から劇的に変われる。
わたしが実際に体感している例で言いますと、
取引先の倒産とかクレームや解約といった悪い情報が耳に飛びこんできたとき、
一瞬は心がゾワッとしてしまうもんですが、
そういうのをスーッと流すことができるようになります。
そしてもう10年近く、
ストレスというものを重く感じたことがありません。
人前で話すときにもちっとも緊張しなくなりましたし。
正確に言葉を使うと、
ストレスがなくなるわけではないのですが、
バーッと襲いかかってくるストレスを軽くうっちゃっておくことができるので、
けっきょくのところはじめから「ない」のと同じような意味になります。
感情のコントロールという点でも、
怒りや恐れはクンバハカを知らなかったころの100分の1か、
1000分の1くらいになったんじゃないでしょうか。
それでもまだカリカリしてしまうことがあって、
以前はどれだけ怒ってたんかと呆れますが‥‥
とにかくクンバハカです。
クンバハカ、クンバハカ、
忘れたらまたクンバハカ。
忘れても忘れてもクンバハカ。
クンバハカが習慣になるまで、
ケツの穴を締めて、締めて、ただ締める。
かんたんですやん。

クンバハカを習慣にするためのヒント

クンバハカを習慣にするためのヒントを、
天風先生がくださってるので触れておきます。
呼吸とセットで習慣にしたらいいよって話です。
 そこで、習慣をつけるのにいちばんいい一石二鳥の方法がある。いま言った体のもち方を応用しながら、折あるごとに時あるごとに、日に何千回でもいいから深呼吸をすることを稽古なさい。そうすると、ひとりでにこの良き習慣が、いざというときに特別に意識を用いなくても、肛門が締まって、肩が落ちて、おなかに力が入る。
   * * *
 深呼吸は出すだけ。最初、肺臓の中の悪ガスを出すことが大事なんです。呼吸なんだから、「呼」のほうから先におし。
 そのときに、肛門は締めておいて、肩だけ落として、腹のほうは考えないで、息を出すだけ出しちゃう。出しちゃって、出切ったなと思ったときに、改めてまた肛門を締めて、肩を落としておいて、息を吸い込む。いっぱい吸い込んだときにおなかにぐっと力を入れて、そしてまたパーッと出す。
   * * *
 そういう呼吸法をやっていると、いざというときに神経反射の調節法がパッとできるばかりでなく、落ちついた気分が求めずして自分の気持ちのなかにでてきて、今までのように感情や感覚にやたら引きずり回されなくなる。結局、軽率なるかな、あわてふためくから、感情や感覚にふり回されちまうんだからね。
中村天風師「成功の実現」より

あの‥‥
見まちがいじゃなく、
日に何千回と書いてますよね。
さらっと読み飛ばしそうになりますが、
それくらいの徹底ぶりですからね、
覚悟はよろしいでしょうか。
息をフーッと、ですね。
吐いて、吐いて、吐いて、吐いて、吐ききる、と。
そうすると下腹のあたりに自然と力がこもりますね。
そのままついでに肛門の筋肉もギューッと絞っていく。
呼吸法のほうも、
天風会で教わることができます。
呼吸操練法という特別な体操もありますし、
クンバハカと組み合わせたプラナヤーマ法というのもあります。
が、
呼吸法に関してはいろんな人がいろんな方法を説いておられますので、
自分の人間性や身体に合ってそうなものを、
お好みで選んでいただければよいのではないでしょうか。
呼吸で大切なことは、
意識的に息を吐いて吸うことです。
別に何も思ったり考えたりしなくても呼吸は続きますが、
そうではなしに自分の呼吸を聴く感じ。
呼吸を意識し、
呼吸とともにある意識に住まう。
人前で話をするのが苦手だという人のほとんどは、
話をしている最中に呼吸を意識することができてませんよね。
逆にいうと、
呼吸を意識する習慣があたりまえになって、
話をしながらでも自分の呼吸とともにあることができれば、
人前で話をするのは平気になります。
息で間が計れる。
緊張することもなくなるでしょう。
意識しないと早くて浅い呼吸になります。
神経が過敏な人は早くて浅い呼吸が習慣になっているからです。
そのへんの習慣そのものを変えてしまいましょう。
意識して、
ゆっくりとした深い呼吸に戻してください。
腹式呼吸というやつです。
いろんな呼吸法があります。
口呼吸がいいという人もいれば鼻呼吸だという人もいる。
が、
丹田を意識した腹式呼吸が望ましいのはまちがいありません。
──クンバハカと呼吸については以上。
あなたの人生が感謝という名の安心で埋めつくされますことを、
心からお祈りいたします。