100年ライフ時代はポートフォリオ型ワークで

副業じゃなくて「複業」。一文字ちがいで大ちがい。 100歳を超えて生きてしまう時代は「専門技能の連続的習得」が不可欠。 組織にあやつられて「生ける屍(しかばね)」になりたくないなら、人生を逆算で考えて生涯プランを組み立てるべし。

このページの内容をテーマにした勉強会「逆算塾」を神戸でやってます

副業に対するネガティブなイメージ

副業に対して、
ネガティブなイメージがずっとありました。
ありませんでしたか?
出世コースから外れて不満たらたらのサラリーマンが、
仕事の手を抜いて会社にナイショでこづかい稼ぎしてる、
そんなイメージじゃないですかね?
イケてない感じで。
MLMと総称されるネットワークビジネスがいちばんに浮かんだりしますが、
これの印象もかなり悪かったです。
たいしてつきあいもなかった中学校時代の同級生から、
何十年かぶりにとつぜん電話がかかってきて、
どうしても見せたいものがあるといって、
こすったら汚れの落ちるハンドソープを売りこみにきた。
アムウェイっていう会社の名前もまだ知らなかったころで、
なんでサラリーマンのはずの彼がこんな熱心に石けんを売りこんでるのか、
まだインターネットで検索して調べる習慣もなかったころで、
さっぱり意味不明で不快感だけが残った。
それが副業に対する嫌悪感として、
30年以上、
ずーっとまとわりついている。
副業する=みっともない
──みたいな。
しかし時代は、
たいへんなスピードでガラッと変わりました。
高橋まつりさん、
覚えてますか?
東京大学から電通に入って9か月足らず、
24歳で自殺してしまったエリート女子ですね。
あの人の過労自死ニュースが流れた瞬間から、
長時間労働に対する本気の非難批判が大爆発し、
働くことに対する日本人の価値観がサーッと翻った。
安倍内閣が「働き方改革」みたいなもん提唱してもせんでも、
日本全土の価値観を覆すのに、
この事件一発でじゅうぶんな破壊力でした。

市民権を得たパラレルワーク

たとえ本人が望んでも長く働かせてもらえない国に、
一夜にして日本は変わってしまいました。
>この国の悪しき慣習が娘を殺したのよ!
──ものすごい目力とオーラが、
高橋まつりさんのお母さんから放出されていましたね。
娘さんを殺したのは、
日本でも電通でもない
と思いますけど。
しかし、
ひとりのうら若き女性の過労自死が、
日本全体を揺るがす劇的な変化を引き起こしたのは事実。
環境適応力のある若者たちは無邪気に喜んでるかもしれませんが、
飲み代ばっかりがかさんで途方に暮れる昭和のオヤジたちも少なからず。
まだ明るいうちに会社から追い出されて、
さあ、
どこ行くの?なにすんの?誰と遊べっつーの??
自分はもっと仕事したいのに、
会社は長時間労働を固く禁止してる‥‥
ってなると、
もういっこ仕事するしかないじゃーん!
‥‥というような流れで、
副業はいまや、
ぐんぐん市民権を得てきている。
副業禁止なんていう規定をつくっている会社のほうが、
完全に時代から置いてきぼりで白い目で見られている。
そんな会社に就職すんなって言われる。
ランサーズ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:秋好 陽介)は、全国の20-69歳男女(3,096人)を対象に、国内初・今年で4度目となる「フリーランス実態調査」を実施しました。本調査では、日本における副業・兼業を含む業務委託で仕事をする広義のフリーランスの経済規模が初の推計20兆円を超える結果がでました。フリーランス人口においては、前年と横ばいで1,119万人、人口に占める割合は17%となりました。
また、副業(本業・副業を区別していない労働者を含む)フリーランスの人口は744万人、経済規模は7兆8,280億円と8兆円近い規模になり、報酬は堅調に増加し、業務委託ベースのパラレルワーカー数が伸長している傾向にあります。ランサーズのプレスリリース(2018年4月)より

副業兼業をやってる人は、
3年前の同調査による533万人から744万人へ、
7割以上も増加してもちろん過去最高。
その経済規模は、
2.8兆円から7.8兆円へ、
3倍近い伸びとなっており、
プレスリリースには「副業元年」の見出しも躍っております。
この発表からも、
副業の広がりが裏付けられるわけですが‥‥
でも、まだ、
それでもなお、
副業に対するわたしのネガティブな偏見はぬぐえないのです。

副業じゃないだろ「複業」だろ

ところが、
同じ「ふくぎょう」でも、
「複業」と書くとネガティブな印象がない。
正副の「副」ではなく、
複数形の「複」です。
副業って書いた場合は、
別に正業、本業があって、
そっちは専門でプロフェッショナル、
その片手間にやってる仕事っていう意味になる。
それに対して、
複業っていうのはどっちも正業で本業。
専門分野が複数あって、
どっちもプロフェッショナル
こうでなくっちゃいけないですよ。
お金をいただいて仕事をする以上、
たとえ少額であっても顧客に対する責任が発生するのは同じ。
プロとしての意識があってしかるべきで、
こづかい稼ぎでやるんじゃない。
ひまつぶしじゃなく、
ダブルインカムで収入を上げたい人なら、
このくらいまっとうな仕事観をもっといたほうがいいでしょう。
何年もたつうちにスキルにも差がでてきて、
報酬のケタがちがってくるはずです。
なにを隠そう、
キクゾウさんも「複業」やってます。
小さいながら法人化してるもんで、
会社として3つの部署で別々の事業をやってます。
プログラマの仕事をやるときは
播磨王
で、
マーケティングは
はやらせ太郎
で、
とか、
わけのわからん複数のビジネスネームを何年も前から使い分けてます。
>専門分野じゃないことにあれこれ手を出して、
>そのせいでサービス品質が下がってるんじゃないのか?

とか、
死んでも言われたくないので、
どの分野も手抜きなしでプロとしての自覚をもってやってます。
だからそれを「副業」と呼んでもらいたくないんですが、
わたしがいくら「複業」だと主張したところで、
区別してくれない人がほとんどでしょうし、
耳で聞いたらいっしょですし、
どこか、
うしろめたさがついてまわってたんですね。
どこまでも、
ですね。

ポートフォリオワーカーっつーんだね!

 未来の仕事の世界で成功できるかどうかを左右する要因の一つは、その時代に価値を生み出せる知的資本を築けるかどうかだ。とりわけ、広く浅い知識や技能を蓄えるゼネラリストを脱却し、専門技能の連続的習得者への抜本的な〈シフト〉を遂げる必要がある。多くの分野について少しずつ知っているのではなく、いくつかの分野について深い知識と高い能力を蓄えなくてはならないのだ。
   * * *
 要するに、未来の世界で成功を収めたければ、高度な専門技能と知識を身につけるべきなのだ。そのためには、まず未来にどういう技能と知識が価値をもつかを見極める必要がある。そのうえ、リスクを回避するために、複数の専門分野に習熟しなくてはならない。ひとことで言えば、連続スペシャリストになることが不可欠なのである。
「ワーク・シフト ─ 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図」(リンダグラットン著)より

ポートフォリオワーカー

ていう言葉は
衝撃のベストセラー「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」
の中で使われた言葉。
なんですが、
ポートフォリオっていう単語自体は、
学生のころ財務の講義ででてきたので耳に馴染みのある投資用語ではあります。
ひとつの金融商品に投資を集中させてしまうと、
それが値崩れしたとたんに総資産が減ってしまう。
なので、
さまざまな種類の金融商品に資産を分散投資することで
リスクヘッジを図る必要があるわけですが、
このように、
投資を分散させること、
またはその分散の組み合わせがポートフォリオです。
クリエイターの世界では、
作品集のことを指してポートフォリオと呼んだりします。
デザイナーなら、
過去にデザインしたパンフレットやポスター、
サイトで使われたのバナーなど、
転職のための資料なのか、受注獲得のためのプレゼン用なのか、
目的に応じてあれこれと組み合わせます。
ポートフォリオ(portfolio)を直訳すると、
紙ばさみ、折りかばん、書類入れ、等の意味があり、
要は、
あれこれいっぱいある書類をひとつにまとめて運ぶためのケースのこと。
つまりポートフォリオワーカーっていうのは、
複数の仕事をあれこれ同時にこなすスタイルを意味しているわけなんです。
「ライフシフト」より前に出版された「ワークシフト」には、
  • 専門技能の連続的習得者
  • 連続スペシャリスト
なる表現がでてきます。
あー、
これやなー
と思いましたがな。
「複業」という表記でわたしが明確に区別したかったのは、
ま、さ、に、
ドンピシャ、このことなんです。
そして、
こんなスタイルを真剣に取り入れる生き方が、
100年ライフ時代には必要になるんちゃうか

「ライフシフト」で述べられているわけなんです。
わたしの生き方そのまんまですやん!
(いやもちろん、ちょっとちがいますやろけどな、
アバウトにいうとそうですやんって話ですやん。)

ともあれ「複業」やってるうしろめたさが、
これでいっぺんに吹き飛んだ。
そやかて
複業やってますねん

ていうより、
>ポートフォリオワーカーでんねん

ていうたほうがかっこよろしおますからな。
宗之内喜久造55歳、
ザ・ポートフォリオワーカーでおますよ。
 新たに出現する人生のステージについて論じる。エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカーという三つのステージである。これらの新しいステージは、既存の行動パターンを壊し、変身資産を増強する機会になる可能性をもっている。
   * * *
 人生には、一種類の活動に専念する時期がある。高給を受け取れる企業の職に就いたり、自分のビジネスを立ち上げたり、エクスプローラーとしてさまざまな可能性を探索したり、フルタイムの学生に戻ったりする時期がそうだ。しかし、さまざまな活動に同時並行で取り組みたい時期もある。そのように、異なる種類の活動を同時におこなうのがポートフォリオ・ワーカーのステージだ。ほかの新しいステージと同様、これも特定の年齢層には限定されない。
   * * *
 ポートフォリオ型の人生は、ときに目を見張るほどの刺激をもたらす。長く生きていると、どうしても過去の繰り返しになり、退屈を感じかねない。そこで、多様な活動に携われるポートフォリオ・ワーカーのステージがいっそう魅力的に見えてくる。しかし、夢見るのは簡単だが、実際にこのステージへ移行するのは難しい。
   * * *
 ポートフォリオ・ワーカーへの移行を成し遂げるためには、必要に応じていわばギアを入れ替えることができ、履歴書に記入できる役職を増やすことより、仕事の能力をはぐくむことを目指して生きる必要がある。フルタイムで雇用されて働いていた人がポートフォリオ・ワーカーに移行しようと思えば、頭の働かせ方と仕事の仕方を状況ごとに柔軟に切り替える能力をもたなくてはならない。問題は、旧来型の第二ステージを生きてきただけでは、そうした柔軟性が身につくとは限らないことだ。
   * * *
 ポートフォリオ・ワーカーへの移行に成功する人は、早い段階で準備に取りかかり、フルタイムの職に就いているうちに、小規模なプロジェクトを通じて実験を始める。興味をもてそうなプロジェクトを試しに実行し、自分がなりたいポートフォリオ・ワーカーのロールモデルを見つけ、社内中心の人的ネットワークを社外の多様なネットワークに変えていく。この過程で変身資産をはぐくむことが重要だ。人的ネットワークを広げ、さまざまな分野の人たちと関わり、業種を移っても活用できて評価されやすいスキルと評判を身につけなくてはならない。広い領域でアピールできるスキルと業績を築くことは、ポートフォリオ・ワーカーのステージへの準備として不可欠だ。
「ライフシフト」(リンダ・グラットン&アンドリュー・スコット著)より