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傾聴の技法をリーダー研修で伝える


傾聴セミナー


ある企業のリーダー研修を依頼されました。
リーダーだけでも30人くらいの、
ふだんわたしがおつきあいしている会社としてはLサイズの、
たいそう立派な中堅企業からの
ありがたいお仕事です。
なにがいちばんうれしかったかというと、
>230分お任せいたします!
という、
社長の力強いひとこと。
わたしのことを全面的に信頼してくださったか、
あるいは、
自前で企画するのがめんどくさかったのか‥‥w(゚o゚)w
どっちでもよろしいです。
とにかく、
テーマ選定から進行まで、
わたしの自由裁量にすべてをお任せいただいた。
つまりそれは、
すべっても言い訳できない環境に追いこまれたってことなんですけど、
いいじゃないですか。
230分っつったら3時間50分。
けっこう長いですよ。
一方的にしゃべるだけじゃあ聞いてるほうがたまりませんナ。
ていうか、
それの約30人分ってことは、
のべ120時間ほどの時間をわたしに捧げていただくことになるわけで。
プレッシャーはかかるけどうれしい。
そこの社長さんが、
わたしのこのサイトをよく読んでおられるということで、
だいたいの手の内はわかっていただいてたのかもしれませんけど、
それにしても事前の打ち合わせはあっさりしてました。
>じゃあコミュニケーションをテーマにさせてもらっていいですか?
>上司と部下のあいだのすれちがい、
>みたいなのをやらしてほしいんですけど。


もちかけたところ、
ふたつ返事でOK。
直接取引ってすばらしい。

上司と部下のすれちがわないコミュニケーション

というわけで、
いま、
わたしが、
いちばん話したかったテーマを遠慮なくマナ板に──
傾聴
について、
ここ5年の学びを全力でお伝えすることにしました。
タイトルは
「上司と部下のすれちがわないコミュニケーション」
です。
(^_^)v
わたくし宗之内喜久造は、
キクゾウ(=聴くぞう)って名乗ってるくらいですから、
人の話を
聴く
ってことに執着してます。
いまからかれこれ6年ほど前、
部下とのコミュニケーションがすれちがいだらけで、
衝突と軋轢がくりかえされる日々。
>あなたは人の気持ちがぜんぜんわかってない!
>わたしの話をぜんぜん聴いてくれない!

と、
メッタ斬りにされているうちに、
これはマジにあかん
と、
真剣な懺悔と悔恨に苛まれ、
自分につけたあだ名がキクゾウ(=聴くぞう)なんですね。
それから6年近い歳月が流れ‥‥
人の話を聴く
とは
どういうことか。
コミュニケーションをよくする
とは
どういうことか。
それを学びたくていろんな講座に通い、
書物を読み漁り、
かれこれ200万円くらい使ったでしょうか。
ようやく
これかっ!
という感触をつかむことができた。
やっぱり
ぜんぜん聴けてなかった
と、
はっきり自覚することができた。
聴く
とは
どういう行為で、
しっかりやれば相手にどんな変化が起こるか。
わかった気がした。
いままで
>あなたはわたしの話に興味がないのね
とか
>相手の気持ちがわからない人なのよ
って、
つきあった彼女と別れ話になるたびに責められてきた部分の意味が、
ついに理解できた気がした。
傾聴の何たるか

触れることができた喜びが、
わたしのここ5年間の学びの中での
最大の収穫。
そして少しずつではありますが、
職場でも家庭でも、
コミュニケーションに質的変化があらわれた。
問題解決と共感のはざまで
バランスを取るコツを見つけた。
このたびのリーダー研修では、
是が非でもその収穫をシェアしたかったんですね。

カウンセリングとコーチング

傾聴セミナー
>キクゾウさん、
>あなたの話し方は、
>コーチングとしてはセーフかもしれないけど、
>カウンセリングとしてはアウトなのよ。

と、
カウンセリングの入門講座で注意を受けたことがありました。
(。・・。)?
コーチングの理論も少しはかじって知っていたし、
身近なところにも何人かコーチングのプロとして活躍している知人がいますから、
なんとなくわかったんですけど、
じゃあコーチングとカウンセリングとのちがいを説明できるかというと、
そこはイマイチ「?」なのでした。
人の話を聴いて相談に乗るお仕事には、
他にもティーチングやらコンサルティングやら、
いろんなタイプがあることがわかります。
このちがいを整理しておいて、
ご自身の傾向と対策を把握しておかれれば、
あなたが部下とコミュニケーションをとるときにもきっと役に立ちます。
結論から先に言いますと、
部下と接するにあたってはコーチングの姿勢で臨むのがいいと思っていますので、
これを機にネットや本屋さんでコーチングの勉強をはじめていただくと嬉しいんですが、
コーチングの何がすばらしいかというと、
外から答を与えるのではななく、
相手の内側から外へ引きだすように導く方法論です。
対照的なのはティーチング。
ティーチャー(先生)のteachで、
教えるっていう意味でして、
外側から答を与えてしまう。
たとえば
>このペンチは道具箱の上から2番めの引き出しにしまっとけ

明快な指示を出す。
指示を与えられた部下は何も考える必要もなく、
ペンチをしまう。
手っ取り早くでいいんですけど、
これをくりかえしていると、
部下は考えないクセがついてしまうので、
言われたことを言われたとおりにしかできない「指示待ち族」が増えることになる。
だからコーチング的なアプローチでは、
答は与えず、
本人の気づきを促そうとする。
>なにか忘れていないかな?
>そのせいでどういう問題が起こるかな?
>どうすればよかったかな?
>他の人が同じミスをしないためにはどうしたらいいかな?

‥‥というふうに、
指示したらたったひとことで済むことを、
まわりまわって気づきを引き出しながらゴールに向かう。
めんどくさいんですけどε=( ̄。 ̄;)
コーチングのスキルの基本は
  • 傾聴
  • 質問
  • 承認


3つであると、
ここでは簡単に覚えておきましょう。
カウンセリングではコーチングよりも、
もっともっと傾聴の果たす役割が大きくて、
8~9割の比重を占めてるといってもいい。
そしてコーチングは「行動」に焦点を当てているのに対して、
カウンセリングでは「感情」を重視します。
(あくまで対比の上で相対的にということなんで、
カウンセリングが行動に焦点を当ててないということでもないし、
コーチングが感情を軽んじているわけでもありません。)

コーチングは、
過去に起こってしまった出来事を踏まえつつも、
よりベターな方向へ相手のポテンシャルを引き出して、
未来のアクションへ意識を向ける。
カウンセリングは、
未来のアクションにつなげるこすことが目的ではなく、
過去の出来事とそれによって生じた心の痛みをじっくり受け入れながら、
相手(クライエント)が自分自身と向きあい、
心の平静を取り戻すための支援をする。
専門家じゃなくても、
このニュアンスのちがいを理解して、
相手のメンタルの強弱や成熟度によって態度を使い分けたいところなんです。

リーダーシップを磨く手段としての「聴く」

「聴く」ことで部下が成長する
という仮説を立ててみましょう。
リーダー研修ですから、
カウンセラーを養成するところじゃないわけで。
傾聴の学びがリーダーシップ向上につながらなければ
高い講師料をいただく意味がない。
職場で、
ビジネスの現場で、
使えなければ意味がない。
そもそもわたしが「聴く」ことを自分の最優先課題としたのも、
部下とのコミュニケーションが破綻したことが発端でしたから。
この仮説が成り立つかどうかは、
わたし自身のリーダーシップ磨きとも完全にシンクロナイズしてる。
さ、
そこで質問。
_____は与えるものではなく、
引き出すものである。


下線部に適当な語句を入れよ。
さ、さ、
どうです?
いろんな言葉が入ると思うんです。
やる気は与えるものではなく、
引き出すものである。
主体性は与えるものではなく、
引き出すものである。
情熱は与えるものではなく、
引き出すものである。
アイデアは与えるものではなく、
引き出すものである。

‥‥等々、
ドラえもんのポケットやないでっ!
って感じですけど、
なんでも入ってなんでも引き出せる。
(^_^)v
カール・R・ロジャーズ
って人

ごぞんじでしょうか。
現代カウンセリングの礎を築いたアメリカの心理学者で、
「来談者中心療法」というカウンセリング理論の創始者です。
ロジャーズの主張によれば、
有機体(arganism)にはそもそも、
実現傾向(actualizing tendency)なるものがそなわっているといいます。
これが自身の全機能を維持し、強化し、
有機体を自律へと向かわせる
と。
これは、
遺伝子についてドーキンス博士が語ったことにも通ずるものがありますね。
傾聴の前提となる姿勢として、
人間にはもともと自己成長力ってもんが備わっていて、
みずから成長していくものであると考えるんです。
「であると考える」っていうより、
進化向上っていうのは宇宙の法則なんで、
そこは真理なんですけども。
なので、
さっきの
_____は与えるものではなく、
引き出すものである。


下線部に入ったさまざまな言葉──
やる気、主体性、情熱、アイデア‥‥
などなどは、
与えなくてもはじめから相手の中にそなわっているに決まっているんです。
生きとし生けるものには皆、
自己実現への傾向が内在している。

そういう前提に従って、
内側から答を引き出すようにもっていくのが、
リーダーとして望ましいコミュニケーションの取り方だ
とするならば、
傾聴をベースとしたコーチングの方法論を学んでおくことが
きわめて有益と思う次第です。
個人面談の成果は上がっていますか

経営課題として、
「社内のコミュニケーション」を掲げる会社は少なくありません。
中小企業家同友会の経営指針成文化セミナーでも、
過半数の会社がこれを挙げてる。
そして、
その対策として「個人面談の実施」を実践目標に入れてる。
定番ですよね。
年に1回、
社長がすべての社員ひとりひとりと、
食事しながらざっくばらんに談笑すると決めている会社もあります。
(社員が50人を超える会社だと、
社長は週に最低1回は社員と差し向かいでメシ食うことになります。)

人数の多い会社になればなるほど、
社長が直接っていうのはむずかしくなるので、
所属長とその部下とが1対1で向きあって小一時間というパターン。
さあ、
そこでいったい何が話されているのだか。
そもそも個人面談って、
上司が部下のホンネを引き出す場っていう位置づけですよね?
ふだん言いにくい悩みとか、
組織に対する不満とか、
抱えこんでしまっているかもしれないストレスとか。
そういうのを引き出すのが目的ですよね?
ちがうのかな??
会社によっては、
上司の言いたいことを伝える場だと考える会社もあるそうな。
せっかく作った経営指針を浸透させる場なんだ、
経営理念をこんこんと説いてわからせる場なんだ、
と。
ま、
それは自由ですけど‥‥。
今回の研修では、
参加者のほぼ全員が
上司か部下のいずれかの立場で面談経験済。
成果はどうかときいてみましたところ、
なんかちょっと、
奥歯にものがはさまったような返事がもごもご‥‥
やっぱり多いんですね、
なんでも話してくれよって感じで部下に接しても、
部下の反応はといえば
>別に‥‥
とか
>さあ‥‥
ばっかりで、
なかなか腹を割ってって感じにならない。
やる気があるんだかないんだか、
なんにも考えてないんだか、
コミュニケーションが苦手なんだか。
すぐにまた
これを思い出してくださいよ。
_____は与えるものではなく、
引き出すものである。

ってやつをね。
やる気のない部下なんかいないんです。
部下のやる気を引き出すことができない上司がいるだけです。

リーダーなんですから、
そんなふうに、
責任は自分にあるんだと考えましょう。
やる気のない部下がいるとしても、
それはそんなふうに見えているだけなんです。
──と、
わたしは中小企業家同友会で教わりました。
請け売りですんません。
ま、
とにかく個人面談では
傾聴のスキル、
あるいは質問のスキルが端的に問われます。
答を与えてしまうティーチング型にならないよう、
くれぐれも気をつけましょう。

傾聴の体得は実習で

傾聴セミナー
というわけで、
終盤には半約1時間のバズセッション(中小企業家同友会風グループ討論)も含め、
230分、
やりきった感はありました。
しかし、
ほんとうに各部署のリーダーに傾聴のスキルを身につけてもらうには、
わたしがそうだったように、
ワークを通じて相当な実習を積んでもらう必要があります。
ロープレ等の実習で、
それこそ、
すべての発言を文字に起こす逐語記録を作成するくらいの丹念さで、
自分のひとことひとことを吟味していく。
>あー、
>このやりとりのあそこの部分で、
>相手の気持ちを受けとめ損なったんだな。
>ほんとうに伝えたかったことは、
>これじゃなかったんだな。

そんな気づきがいっぱい出てくる。
YouメッセージIメッセージ
意識して使い分ける意義についてもレクチャーしましたが、
ロープレで何回か指摘してもらっているうちに習慣として身につく。
いちど習慣になってしまえば、
あとは何も考えなくてもオートマチックにできちゃうんですからしめたもの。
機会があればどこでも飛んでいって、
そこで味わえるちょっとした衝撃を、
いそがしい現場リーダーのみなさんとシェアしたいですね。
(^_^)v
わたしが伝えたいのは、
傾聴という課題に取り組む価値の大きさ。
3年かかろうが5年かかろうが、
得られるものの大きさを考えたら、
トライする価値はじゅうぶんにあると思ってます。
それには実習が不可欠であると。
頭でわかったからといって、
できるようになるもんでもない。
たとえば「泳ぐ」という行為。
理屈としてはわかるし、
クロールやらバタフライやら平泳ぎやら、
スタイルごとの技法があることもわかる。
しかし、
本を読んだりビデオを見たりして泳ぎのイメージはわかっても、
実際に泳げるようになるには、
水に入って実技を経験しなければ、
いったい自分がどのくらい速く泳げているのか、
綺麗なフォームで泳げているのか、
わからない。
「聴く」のもそれといっしょ。
ふだんの無自覚な会話は、
浮き輪につかまって流されているだけ。
泳いでないんです。
だからまず、
傾聴という、
ふつうの聞き方じゃない聴き方が存在することを知ってください。
そしてそこには、
訓練で身につく技法があることを知っていただきたい。
技術的な方法ですから、
人間性はひとまず関係ないということ。
性格が悪いから水泳がうまくならないなんてことがないのといっしょで、
コミュニケーションのスキルは人間性とはとりあえず無関係に、
練習すれば上達することができる。
走りこんだら速くなるのといっしょで、
実習を積めば誰でも必ずコツがつかめる。

話しかけられやすいタイプですか

カウンセリングやコーチングの学びを足がかりに、
傾聴の訓練を開始したわたしですが、
50すぎのジジイになるまで、
人の話をきちんと聴くことなく生きてきてしまいました。
けれど、
それがよっぽどひどかったおかげで、
部下にこっぴどく叱られて目が覚めた。
正面から向きあうきっかけがもらえた。
いままでKYでいろんな人を不快にさせてきたし、
ま、これからも、
やらかしてしまうことはたびたびあるでしょうけど、
でも、よかったです。
息子はまだ小学5年。
娘は中学1年。
この子らがだんだん大人になっていく、
そのプロセスにまにあってよかったかなと思うんです。
ほめ方や叱り方、
聴き方や話し方、
想いの描き方、伝え方、
そういう学びをこの5年間は一生懸命やってきた。
まだまだ下手クソですが、
ヘタだ

わかってまた練習に励む、
その謙虚さだけは身についた。
すごいこと話してくれたな
と、
じ~んとする場面が増えてきたのがわかるんです。
>このことはいままで誰にも話したことないんです。
>生まれて初めて、
>きくぞうさんに初めて言うんですけど‥‥

って、
相手が男でもかなりドキッとするような‥‥
人の話を聴けてないときには味わえなかった、
時間の流れ方であったり、
しぐさの変化であったり、
に、
気づくことが増えてきた。
話しているうちに、
相手が涙を流す場面にもたびたび遭遇するようになった。
この記事を読んで、
傾聴にちょっとでも興味がわいたあなたは、
人生の課題のひとつにぜひ傾聴を加えてください。
モテるようになりますよ。
苦味がウリでとっつきにくく、
コワモテのわたしでさえ、
この歳になってがぜんモテてしまうんですから。
話しかけられやすさが高まるにつれ、
ほんとうにいろんな悩みを打ち明けられるようになります。
聴いてしまった以上、
なんとかしてあげなければ申し訳ない気持ち
や、
役立たずな自分の力量不足に向きあいたくない気持ち
が、
パーッとわいてくるもんですから、
それはそれでしんどくなってしまうかもしれないんですけども、
そこで自己成長力を思い出せばいいんです。
聴き手にできることは引き出すことだけですから、
変わるのも変えるのも相手の役割なんですね。
(^_^)v
技巧愛情が、
車の両輪となって、
あなたをとりまくコミュニケーションがますます豊かになりますことを祈りつつ、
きょうはここまで。
ごきげんよろしゅうに♪o(^o^o)(o^o^)o♪


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